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ECにおける最寄品と買回品の販売戦略まとめ
日々の生活必需品をネットでポチッと買うケースが当たり前になった昨今。EC市場の拡大に合わせて、最寄品(Convenience Goods)と買回品(Shopping Goods)を取り扱う企業が急増しています。
しかしながら、この2種類の商品カテゴリでは、顧客が商品を選ぶ際の基準や購買行動が大きく異なるため、同じECでも違ったアプローチが必要となります。
本記事では、それぞれの特徴とECでの売り方・マーケティング戦略を解説します。さらに、各ライフサイクル(導入期、成長期、成熟期、衰退期)ごとに最適な施策をまとめた表もご用意しましたので、ぜひ参考にしてみてください。
最寄品(Convenience Goods)とは?
最寄品とは、食品や日用品、飲料など、日常的に繰り返し購入される商品を指します。
- 購買頻度が高く、価格帯は低〜中程度。
- 消費者はあまり深く考えずに「便利だから」「安いから」「いつも同じのを買うから」など、慣習的・衝動的に購入することが多い。
- ECにおいては、送料や配送リードタイム、定期便やサブスクモデルなど、利便性に関連する要素が購買決定に大きく影響します。
最寄品のEC戦略まとめ
以下の表では、最寄品をECで販売する際の製品ライフサイクル別(導入期、成長期、成熟期、衰退期)の基本戦略をまとめています。
戦略要素 | 導入期 | 成長期 | 成熟期 | 衰退期 |
---|---|---|---|---|
売上・利益 | – ECでの存在感が小さく売上も低水準 – 投資が先行し、利益は薄い | – 認知度拡大&リピート購入増で売上急伸 – 生産・配送効率が上がり利益も向上 | – 売上ピークor安定 – 価格・プロモーション競争で利益率は圧迫 | – 売上減少に伴い利益も縮小 – 新製品への移行・在庫処分を検討 |
顧客特性 | – 新商品を試してみたい層が中心 – 初回購入のハードルが低い | – 大衆層へ浸透し購入回数が増加 – 定期便やサブスク契約者も増加 | – 既存顧客の習慣買いがメイン – 離脱防止が最重要 | – 他ブランドへのスイッチが進む – ロイヤル顧客・ニッチ需要のみ残存 |
マーケ施策 | – 初回クーポンや送料無料キャンペーン – SNS・クチコミ活用で認知拡大 | – 大規模広告投入やセールでシェア拡大 – モール内検索上位対策 | – ロイヤル客向け特典強化 – マルチチャネルで利便性アップ | – 大幅なプロモ縮小 – 必要に応じて在庫一掃セール |
製品戦略 | – コア商品を中心に差別化ポイントを明確化 – パッケージや使いやすさを強調 | – バリエーション展開(味・サイズなど) – 定期便向け専用パッケージなど | – 季節限定やコラボ商品で飽き防止 – レビューを活かしたマイナーアップデート | – 不採算ラインは縮小 – コア商品のみ継続販売 |
買回品(Shopping Goods)とは?
一方で、買回品とは家具や家電、アパレル、高価格帯の化粧品など、ある程度比較検討をしてから購入する商品を指します。
- 消費者は「他社製品」とスペックやデザイン、価格を見比べながらじっくり購入を検討する。
- 購買頻度は低めだが、単価は中〜高価格帯。
- 購入の決め手は「ブランドイメージ」「製品レビュー」「商品ページの情報量」「アフターサポート」など多岐にわたります。
- ECにおいては、いかに分かりやすく製品情報や魅力を伝えられるかが重要です。
買回品のEC戦略まとめ
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戦略要素 | 導入期 | 成長期 | 成熟期 | 衰退期 |
---|---|---|---|---|
売上・利益 | – 認知度が低く売上小規模 – 開発・広告投資が先行し利益は薄い | – SNS・レビューが広がり一気に売上拡大 – 生産スケールメリットで利益率も上昇 | – 売上がピークに達し安定 – 価格競争が本格化し利益率はやや低下 | – 売上下落し需要縮小 – セール・在庫処分で利益確保が困難に |
顧客特性 | – イノベーター・ハイエンド層が先行購入 – スペックやブランドイメージを重視 | – アーリーマジョリティが加わり大衆化 – レビューや比較サイトを熟読 | – 一般層が広く利用 – リピーターやブランドファンが一定数存在 | – 代替製品・新技術にシフト – コレクターやロイヤル顧客のみ残存 |
マーケ施策 | – インフルエンサーや専門メディアで認知獲得 – 製品コンセプトを深く伝える | – 大規模オンライン広告投下 – 動画レビューやユーザーコミュニティ活性化 | – ブランドロイヤルティ強化施策 – 付加価値(保証・サポート)で差別化 | – プロモーション予算を削減 – クリアランスセール・アウトレット中心 |
製品戦略 | – 独自技術やデザインで差別化 – 商品ページの作り込み(画像・動画・レビュー) | – カラーバリエーション、サイズ違いなどライン拡充 – アップグレードモデルをリリース | – 定番モデルと限定モデルを併売 – マイナーアップデートやコラボ商品で飽き防止 | – 主要モデル以外は生産終了 – アウトレット販売や後継機への乗り換え誘導 |
最寄品と買回品:EC戦略の違い
1.購買頻度・価格帯の違い
- 最寄品:高頻度・低価格で「利便性」と「手軽さ」がカギ。
- 買回品:低頻度・中〜高価格で「情報量の豊富さ」「ブランドイメージ」「サポート体制」がカギ。
2.プロモーションの手法
- 最寄品:クーポン、セール、定期購入割引など、即時購買やリピート購入を促す施策が中心。
- 買回品:動画やSNSでの比較レビュー、専門家・インフルエンサーの評価などを活用し、詳細情報を丁寧に伝える施策が重要。
3.チャネル戦略
- 最寄品:Amazonや楽天などのモールを中心とした幅広い流通が不可欠。サブスクや定期便モデルとの相性が良い。
- 買回品:公式サイトや直営ECでブランドの世界観を演出しながら、大手モールにも出店して集客力を高める二軸戦略が効果的。
4.価格設定
- 最寄品:価格競争に巻き込まれやすい。ポイント還元やセット販売などで付加価値を訴求。
- 買回品:あまり安易な値下げを行うとブランド価値が下がるリスクがある。プレミアムラインとスタンダードラインを使い分けることも有効。
まとめ
ECでの販売が当たり前になる一方で、商品特性によって戦略が大きく異なることを理解しておくことが、ビジネス成功のカギとなります。
- 最寄品であれば、消費者がストレスなくリピート購入できる環境とキャンペーン設計がポイント。
- 買回品であれば、消費者に製品の魅力を深く理解してもらう情報発信と、購入後の安心感を提供することが不可欠です。
本記事で紹介した表やポイントを参考に、自社商品や扱うブランドに合わせてEC戦略を最適化していただけると幸いです。継続的なデータ分析と改善を行いながら、顧客満足度と売上の両面で成果を上げられるよう応援しています。